3行まとめ
- 人口2億8,600万人、年齢中央値30.4歳 — Z世代とミレニアル世代が人口の半分近く(49.3%)を占める(2025)
- インドネシアの消費者の76%が、クリエイターが共有したリンクから購入した経験あり — 広告より「隣人のおすすめ」(2025)
- 2026年10月18日から、化粧品は輸入品もハラール認証が義務化 — コンテンツより先に確認を(2026)
インドネシアの消費者とは
インドネシアは、若く、大きく、手のひらの画面で動く市場です。DataReportal「Digital 2026: Indonesia」(2025.11)によると、人口は約2億8,600万人(国連推計)、年齢中央値は30.4歳です。インドネシア中央統計局(BPS)の2025年人口調査(SUPAS)も2億8,467万人と、ほぼ同じ規模を示しています。
世代構成を見ると理由がわかります。BPSのデータをまとめたKatadata(2026.06)によると、2025年時点でZ世代(1997〜2012年生まれ)が24.93%、ミレニアル世代(1981〜1996年生まれ)が24.34%で、合わせると人口の半分近く(49.27%)になります。この世代は、広告よりも先にフィードでブランドと出会います。
デジタル環境も同じ方向を向いています。同じDataReportalのレポートでは、インターネット利用者は2億3,000万人(普及率80.5%)、ソーシャルメディアのアカウントは1億8,000万件で、1年で26%増加しました。携帯電話の回線数は人口を上回る3億3,100万回線です。キャンペーンの基本の舞台は、モバイルの縦型画面だということです。
なぜ1人のスターより100人の隣人なのか
impact.comとCubeが東南アジア6か国の約2,400人を対象に行った「2025 eCommerce Influencer Marketing in Southeast Asia」(Marketing-Interactive報道、2025.07)では、インドネシアの回答者の76%が、クリエイターが共有したリンク・コンテンツを通じて買い物をした経験があると答えました。同じ調査で、メガインフルエンサー(フォロワー100万人以上)の影響力は低下する一方、マイクロ・ナノクリエイターは信頼の低下が比較的小さいことがわかりました。
インドネシアで「隣人」が強いのには、構造的な理由もあります。1万7千以上の島々に数百の地域言語が混在する国のため、ジャカルタのトップスター1人が全国の生活感を代弁するのは困難です。スラバヤ、バンドン、メダンといった地方の大都市のクリエイターが、地元の話し方で、自分の肌タイプや気候の中で使ってみた話をするとき、「私も使ってみようかな」が生まれます。
そのため、言語はインドネシア語(バハサ・インドネシア)が基本です。英語字幕や韓国語の原本に翻訳を付けただけのコンテンツより、現地のクリエイターが自分の言葉で作り直したコンテンツのほうがはるかに自然に受け入れられます。ムスリムが多数を占める国であるため、ヒジャブを着用するクリエイターや、ラマダンなどの宗教行事の日程も企画段階から考慮する必要があります。
プラットフォームごとに役割が異なる
インドネシアでは、ソーシャルとショッピングがほぼ一体化しています。2023年に政府がソーシャルメディア内での直接決済を禁止すると、TikTokは現地最大級のECの一つであるTokopediaの株式75.01%を取得し、TikTok Shopと統合しました(TechCrunch、2023.12)。現在は、動画で見た商品をTokopedia・TikTok Shopの決済でそのまま購入する流れが定着しています。
Momentum Works「Ecommerce in Southeast Asia 2026」(Bisnis.com報道、2026.05)によると、2025年のインドネシアのEC流通総額(GMV)は約577億ドルで、Shopeeが54%、TikTok ShopとTokopediaが合わせて38%を占めました。2つの陣営が市場の90%以上を分け合っている形のため、販売チャネルは事実上この2つから選ぶことになります。
露出面では、DataReportal(2025.11)の広告リーチ基準で、TikTokが18歳以上の成人1億8,000万人、YouTubeが1億5,100万人、Instagramが1億800万人です。ただし、これは広告が届きうる規模であり、実際の利用者数と同じではありません。プラットフォームごとに得意分野が異なるため、1つを選ぶより役割を分担するほうが効率的です。
| プラットフォーム | 主な役割 | こんなときに | 見るべき指標 |
|---|---|---|---|
| TikTok | 発見と話題化 | 新商品を初めて告知するとき | 再生 · 保存 · シェア |
| TikTok Shop · Tokopedia | 動画から直接購入 | ライブ販売 · アフィリエイトリンク販売 | リンククリック · 販売コンバージョン |
| Shopee | 検索・比較してから購入 | 価格プロモーション · リピート購入 | 検索順位 · レビュー数 · 販売数 |
| ブランドイメージとレビュー | ビューティー・ファッションのトーンづくり | 保存 · コメント · プロフィール訪問 | |
| YouTube | 長尺レビューと比較 | 成分・使い方の説明が必要なとき | 視聴時間 · 検索流入 |
コンテンツより先に — ハラール認証とキャンペーン設計の順序
化粧品ブランドであれば、クリエイターを選ぶ前に確認すべきことがあります。インドネシア・ハラール製品保証庁(BPJPH)は、政令2024年第42号(PP 42/2024)に基づき2026年10月17日までを化粧品の猶予期間とし、10月18日からハラール認証を義務化します。この義務は国内製品だけでなく輸入製品にも適用されます(hukumonline、2026.07)。BPJPHは2026年10月にも「延期はない」と表明しています。
実務上は3つのパターンがあります。BPJPHが認めた海外のハラール認証機関の認証書がある場合は、販売前にBPJPHへの登録が必要です。ハラール原料で製造できない製品は、パッケージに「非ハラール」の表示をしなければなりません(ChemLinked、2025.07)。BPJPHは輸入製品に関する別途の細則を準備中としているため、発売直前には現地の輸入業者や認証代行会社を通じて最新の告示を改めて確認するのが安全です。
その次がキャンペーン設計です。順序は次のとおりです。① ハラール認証・輸入許可などの販売条件を確認 → ② 販売チャネル(ShopeeまたはTikTok Shop・Tokopedia)を決定 → ③ 地域とターゲット世代を決める(ジャカルタだけを狙うか、地方の大都市まで広げるか) → ④ インドネシア語で発信するマイクロ・ナノクリエイター複数人でレビューと話題を積み上げる → ⑤ 反応の良いコンテンツをライブ販売と広告で伸ばす。セレブは、この流れが回り始めてから加えても遅くありません。
HOMI FACTORYは、インドネシア支社を中心に現地クリエイターのキャスティングとコンテンツ運用を自社で担っています。販売条件の確認から地域別のクリエイターの組み合わせまで、最初のキャンペーンの進め方をブランドと一緒に組み立てます。
実務チェックリスト
- ハラール認証(または非ハラール表示)の状況を発売前に確認しましたか?
- 販売チャネルをShopeeとTikTok Shop・Tokopediaのどちらにするか決めましたか?
- ジャカルタ以外の地方大都市まで、ターゲット地域を決めましたか?
- クリエイターがインドネシア語で自分らしく発信できるよう、ブリーフに余白を残しましたか?
- メガ1人より、マイクロ・ナノ複数人に予算を分配してみましたか?
出典
- DataReportal(We Are Social · Meltwater), 「Digital 2026: Indonesia」 (2025.11)
- BPS人口調査 SUPAS 2025(Bisnis.com・Katadata報道、2026.05〜06)
- impact.com × Cube, 「2025 eCommerce Influencer Marketing in Southeast Asia」 (Marketing-Interactive 報道, 2025.07)
- Momentum Works、「Ecommerce in Southeast Asia 2026」(Bisnis.com報道、2026.05)
- BPJPH発表およびhukumonline・ChemLinked報道(2025.05〜2026.10)
- TechCrunch, 「TikTok to invest $1.5B in GoTo's Indonesia e-commerce business」 (2023.12)
数値は発行時点の公開資料に基づいています。



